こんにちは!都筑区仲町台の歯科、あおぞら歯科クリニック院長の池田智之です!

偉大な漫画家、手塚治虫の代表作「ブラックジャック」。

医療の道を志す若者なら
必ず一度は読む作品といっても
過言ではないでしょう。

もちろん院長も例外ではありません。

物理の教科書を机に立て
その裏で必死に来るべき医療の勉強に励んでいました(笑)。
よいこはマネをしてはいけませんね。

いろいろと心に残るエピソードがあり
それぞれに考えさせられるわけですが
そんな中でも強く記憶に残っているのが
「体内に置き忘れられたメス」の話です。

詳しい話はここでは述べませんが
遠い昔の手術の際に体内に忘れられたメスが
時を経て取り出されたとき
その周囲を石灰化物がまるで「さや」のように取り囲み
体が傷つくのを守っていたという話です。

石灰化というのは組織中のカルシウムイオンが
沈着して起こるもので、ある意味正常な代謝の結果
であるともいえます。

われわれ歯科の領域で
この現象に最も簡単にお目にかかれるのが
そう、「歯石」です。

歯石は歯に付着したプラークが石灰化したものであり
ハブラシなどでは容易に取り除くことができません。

歯石それ自体の病原性は低いといわれていますが
歯石の付着した表面には新たなプラークがつきやすく
下敷きになった歯肉の炎症を引き起こすため
口臭の原因となり、ひいては歯周病(歯槽膿漏)の主原因となります。

ですので現代歯科医学においては
もちろん除去して清潔に保つことに
異論を挟む余地はありません。

before.jpg
 
歯石によって歯肉に炎症が起きています。

after.jpg

歯石を取ると、歯肉の炎症がはっきり分かります。

しかし「石灰化」ということの本質を考えたとき
考えようによっては、病原性の高い細菌の塊であるプラークを
石灰化によって「歯石」として封じ込める
生体側の精一杯の抵抗なのかもしれません。

まるで「置き忘れられたメス」のように。

あおぞら歯科クリニック