こんにちは!都筑区仲町台の歯科、あおぞら歯科クリニック院長の池田智之です!

この度の東日本大震災によって
図らずも認知度の上がってしまった放射線の知識。

本来ならば、
国策として原子力発電を推進している日本の国民として、
知っておかねばならないことだったのかも知れません。

以前よりも確実に患者さんから聞かれることが増えた
「放射線」に関する知識を
今回は分かりやすく検証したいと思います。

題して
あおウン The Radiation」。

しばしお付き合いください。

「放射線」とは”移動中のエネルギー”であり
日光、音波、水面の波など多くの種類が存在する。
それが低レベルなら害はなく
生命に対して有益な場合がある一方
極めて高いレベルであれば多くの場合損害を与えるものである。
(以上Wikipediaより抜粋)

放射線はもともと自然界にも存在し
当然のことながら我々は日々これらの自然放射線を
浴びながら暮らしています。

しかし近年、先進諸国の医療界では
医療に用いるレントゲンなどによる
医療被曝が増えつつあります。

前述したように放射線には
人体に悪影響を与える場合もあれば
逆によい影響を与える場合もあります。

具体的には、生物が強い放射線を受けると
生物を構成する細胞のDNAが傷つき
細胞自体が破壊されたり、DNAが書き換えられたりします。

これを悪い方向に作用させれば
生体を破壊する行為となりますが
コントロール下でうまく利用すれば
治療や診断に役に立ち、結果として
生体を救うことになります。

キュリー婦人の発見以来
放射線が救ってきた人類の数は
数え切れないものでしょう。

全てのことにいえるのかもしれませんが、放射線においても
大切なことは、それがもたらすメリットとデメリットを熟知し
相対的にメリットが増えるようにコントロールすることです。

歯科において問題となるのは、主にレントゲン撮影です。

デジタルレントゲンシステムの普及により
少ない放射線量で鮮明な画像が得られるようになった昨今
歯科領域における放射線被爆はまさに
「無視しても差し支えないレベル」といって過言ではないでしょう。

数本の歯を映し出す小さなレントゲンフィルムで
0.02mSv(ミリシーベルト)
顔全体を映し出すパノラマレントゲンでも
0.04mSvといわれています。

ちなみに当時のマスコミでよく引き合いに出された
「胃のレントゲン写真」は0.6mSvといわれています。
「0.3mSvの放射線は胃のレントゲンの半分だから安全!」
といわれていた例のやつですね。

もう皆さんご存知だと思いますが、これにはトリックがあります。
「毎時」という文字が省略されています。

瞬時に照射される一回のレントゲンによる放射線量と
一時間当たりに浴び続ける線量とを単純に比較できないのは
「速度」の概念を習う小学6年生以上であれば
誰もがおかしいことに気が付きます。

この概念で考えれば、0.3mSv/hの場所に1日いれば
12回の「胃のレントゲン撮影」を1日で行ったことになります。

尋常ではないです。

それよりももっと大切なことは
レントゲン撮影は遊びでやるのではなく
それによって病気を未然に発見できたり
適切な治療方法を選択できるという大きなメリットがあるのに対し
原発事故の影響で浴びる放射線は
本来浴びる必要のない、デメリットのみの放射線である点です。

多くの医療行為は少なからずデメリットが存在します。
しかし、それによるメリットがデメリットを上回る場合にのみ
その治療は正当化されるわけです。

何も分からないのにレントゲン撮影をする人がいるでしょうか?
治る可能性がないのに放射線治療を受ける人がいるでしょうか?

医療行為は、そこにメリットがあるから行うのです。

無論全ての医療被曝が無条件に許容されるはずはありません。
われわれ医療人はこのことを肝に銘じ
技術や診断力の向上に日々努める義務があるものと考えます。

あおぞら歯科クリニック